
室田 浩之 先生
長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 皮膚病態学分野 教授
アトピー性皮膚炎の治療目標は、良い状態を長期にわたってキープすることです。良い状態とは、「ただ湿疹が改善した」というだけでなく、患者さんが自分の思うような生活がおくれているという点が大切です。
しかし、医師は診察室で皮膚の状態を診ることはできますが、生活の様子は患者さんからお話を聞かないと確認ができません。そのため、アトピー性皮膚炎の治療では医師と患者さんの間で症状・日常生活の支障に対する認識のギャップが生じやすく、このギャップをつくらないためにも、患者さん自身による症状の評価をして、それを医師と共有することが大切です。
しかし、限られた診察時間の中で、患者さんがご自身の状態について、簡単に先生に伝えるのは難しいこともあります。そこで、ここにご紹介しているADCT(Atopic Dermatitis Control Tool;アトピー性皮膚炎のコントロール状態に関する調査票)を使うことで、短時間かつ簡単に現在困っていることについて、医師に相談することができます。現在の悩みについて、医師と一緒に問題を共有し、その上でどんな治療ゴールに向かって治療を進めていくか、医師と話してみましょう。
ADCTとは、アトピー性皮膚炎の
コントロール状態を
患者さん自身で評価できる
指標の一つです。

ADCT1)
患者さん自身が測定を行い、疾患コントロール状態を長期的に見るスコアです。
6つの質問で、直近の1週間の症状の程度に加えて、その症状が睡眠、日常の活動、気分や感情にどの程度影響したかを回答します。


【注】合計スコアが7点未満であっても、6つのいずれかの質問のうち、1つでも2点以上(4番目の質問では1点以上)のスコアを記録した質問があった場合、または前回のADCT使用時から合計点数が5点以上増加した場合、「良好にコントロールされていない可能性がある」と判定されます。
1)Pariser DM et al. Curr Med Res Opin. 2020;36:367-376;
Simpson E et al. BMC Dermatol. 2019;19:15
こちらのインタビューは「& magazine」Vol.5に掲載しております。
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Vol.5
(2.4MB)