「咳」は誰もが経験しがちな、よくある症状です。しかし長引く場合には注意が必要です。通常、風邪などの感染症による咳は、長くて3週間程度でおさまるとされています。それ以上咳が止まらない場合は、喘息など、他の病気の可能性があります。病院へ行き、きちんと診断を受けることが大切です。

喘息の特徴は?

咳が止まらない場合、喘息の可能性も考えられます。典型的な喘息の発作では、息苦しくて咳が止まらず、呼吸をするとゼーゼー音がします。

①息苦しい

空気の通り道である気道がせまくなることで、十分に呼吸ができず、
息切れしたり、息苦しさを感じます。

②咳が止まらない

激しく咳が出て、夜寝ていても、咳で目がさめることもあります。
夜~早朝にひどくなることが多いのも特徴です。

③ゼーゼーする

呼吸するときに聞こえる「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音は 喘鳴(ぜんめい)といいます。
喘鳴(ぜんめい)がある場合、喘息の可能性が高いと考えられます。

喘息の特徴は?

こうした症状がある場合は、喘息の可能性が考えられます。
症状は発作的にあらわれ、おさまっている時はほとんど症状がありませんが、症状がないからといって放置しておくと、悪化してしまうこともあります。喘息かもしれないと思ったら、早めに病院へ行きましょう。

喘息で咳が出るのはなぜ?

咳が出る理由と、喘息と他の咳の違いについて、解説します。

Q1 咳ってどうして出るの?

咳は、気道に入ってきた異物や分泌物などを、気道の外に追い出すために起こる身体の反応です。

①気道の神経が刺激を受けると、②神経を通して、刺激が脳の咳中枢
(咳を出す命令をする場所)へと伝わり、③咳が出ます。

Q1 咳ってどうして出るの?

Q2 喘息の咳と、他の咳はどこが違うの?

日常的に起こる咳と喘息の咳では、咳を引き起こす刺激を感じ取る場所が異なります。
日常的に起こる咳では、異物や分泌物などが気道に入ってくると、気道の表面がその刺激を感じ取り、神経が咳中枢へと情報を伝えます。
一方、喘息や咳喘息の場合、まず発作を引き起こす刺激(ダニ、ほこり、タバコの煙など)によって気管支の筋肉(平滑筋)が縮み、その筋肉の収縮を平滑筋の中の神経が刺激として感じ取ることによって、咳中枢へと情報が伝わり、咳が起こります。
このため、咳や咳喘息では、平滑筋の収縮を緩める作用がある気管支拡張薬という薬によって治療をおこないます。気管支拡張薬は、その他の咳には効果がありません。

※咳喘息:喘息と似ていますが、呼吸機能の異常などはなく、咳だけを唯一の症状とする病気です。咳喘息の人の30~ 40%が将来的に喘息に移行すると言われています。

Q2 喘息の咳と、他の咳はどこが違うの
日本呼吸器学会:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019, 日本呼吸器学会, 2019, p.6-9を参考に作成