専門医インタビュー
《喘息とコロナについて》
慶應義塾大学医学部 呼吸器内科
教授 福永 興壱 先生

コロナ禍において喘息の患者さんが
安全に過ごすために必要なこと

新型コロナウイルス感染症の症状はさまざまであり、無症状のまま経過する方から重症化する方までいます。重症化のリスクには年齢や基礎疾患が関係すると報道されており、不安を抱えて過ごされている方も多くおられます。
そこで今回は、新型コロナウイルス感染症と喘息の関係についてお伺いするため、慶應義塾大学病院の福永興壱先生をお招きしました。喘息をお持ちの患者さんが、コロナ禍を安全に過ごすために必要な事柄について教えて頂きました。

喘息は新型コロナウイルス感染症の重症化と関連しますか?

福永 興壱 先生
福永 興壱 先生

2019年の年末に初めて報告された新型コロナウイルス感染症は、その後、世界的な流行へと移行し、現在も多くの地域で感染が続いています。そうしたなか、新型コロナウイルスに感染した方々を対象とした調査・研究が世界各地で行われた結果、重症化や死亡に関係するリスク因子が明らかとなってきました。
海外および国内の研究からは、高齢であることや喫煙歴があること、高血圧や糖尿病などのいくつかの基礎疾患をもつことが、新型コロナウイルス感染症の重症化や死亡のリスクに関係することが示されています。


しかし、喘息はこれらのリスク因子には含まれないことが分かっていますので、その点は安心して頂きたいと思います。私たち慶應義塾大学病院とその関連病院に入院した新型コロナウイルス感染患者を解析した結果でも、喘息と新型コロナウイルス感染症の重症化や死亡リスクとの関連性は示されませんでした(図)。

ウイルスイメージ画
ウイルスイメージ画

しかし、喘息はこれらのリスク因子には含まれないことが分かっていますので、その点は安心して頂きたいと思います。私たち慶應義塾大学病院とその関連病院に入院した新型コロナウイルス感染患者を解析した結果でも、喘息と新型コロナウイルス感染症の重症化や死亡リスクとの関連性は示されませんでした(図)。

図 新型コロナウイルス感染症の重症化と死亡に関連するリスク因子
図 新型コロナウイルス感染症の重症化と死亡に関連するリスク因子

喘息の患者さんがコロナ禍で注意
すべき事は何でしょうか?

コロナ禍において、喘息をお持ちの患者さんに最も気をつけて頂きたいことは、医師から指示された治療薬をいつも通りしっかりと継続することです。患者さんが自己判断で治療薬を中断したり使用回数を減らしてしまうと喘息の発作を誘発することになり、救急搬送や入院などに至る危険性があります。
また、咳・痰・喘鳴・息苦しさなどの症状が現れたり、以前よりも強まったりしたときには、必ず医師に相談して下さい。このような症状に対して自己判断で吸入薬の使用回数を増やしたり、経口ステロイド薬を服薬すると思わぬ副作用を引き起こす結果となることがあります。治療薬については必ず相談し、医師の指導のもとに使用するようにして下さい。

とくに経口ステロイドは強力な作用をもつ薬ですが、全身に作用を及ぼすため、さまざまな副作用が起こるおそれがあります。必要最小限の量を短期間だけ使うのが原則とされており、長期にわたってむやみに使うことは推奨されていません。気になることがあれば、自己判断せずに医師に相談しましょう。

繰り返しになりますが、喘息は新型コロナウイルス感染症の重症化と直接的な関係はありません。ただし、日頃からしっかりとコントロールをしておくことが重要です。コロナ禍においても医師から指示された治療薬を継続し、症状悪化や発作を予防することが何よりも大切です。

診療中イメージ
診療中イメージ

とくに経口ステロイドは強力な作用をもつ薬ですが、全身に作用を及ぼすため、さまざまな副作用が起こるおそれがあります。必要最小限の量を短期間だけ使うのが原則とされており、長期にわたってむやみに使うことは推奨されていません。気になることがあれば、自己判断せずに医師に相談するようにしましょう。

繰り返しになりますが、喘息は新型コロナウイルス感染症の重症化と直接的な関係はありません。コロナ禍の状況においても医師から指示された治療薬を継続し、症状悪化や発作を予防することが何よりも大切です。

背景画像 プロフィール
慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 教授 福永 興壱 先生

専門分野呼吸器内科全般、閉塞性肺疾患、睡眠時無呼吸症候群

専門分野呼吸器内科全般、閉塞性肺疾患、
睡眠時無呼吸症候群

略歴

1994年3月

慶應義塾大学医学部 卒業

1994年4月

慶應義塾大学医学部 研修医(内科学教室)

2000年1月

東京大学大学院 生化学分子細胞生物学 講座研究員

2000年4月

慶應義塾大学医学部 専修医(内科学教室)

2001年7月

独立行政法人 国立病院機構 南横浜病院医員

2002年8月

米国ハーバード大学医学部 Brigham and Women’s Hospital

2005年11月

慶應義塾大学医学部 臨床助手(内科学呼吸器内科)

2007年7月

埼玉社会保険病院(現埼玉メディカルセンター)内科医長

2010年4月

慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 睡眠医学研究寄附講座 特別研究助教

2012年4月

慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 専任講師(学部内)

2015年11月

同 専任講師

2016年1月

慶應義塾大学病院 呼吸器内科診療科 副部長(兼任)

2018年3月

慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 准教授

2018年5月

慶應義塾大学病院 呼吸器内科診療科 部長(兼任)

2018年8月

同 アレルギーセンター センター長(兼任)

2018年10月

同 睡眠センター 副センター長(兼任)

2019年6月

慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 教授

2019年10月

慶應義塾大学病院 病院長補佐(兼任)