アトピー性皮膚炎の診断
アトピー性皮膚炎を診断するにあたって、①かゆみがあるか、②皮膚症状や発症部位がアトピー性皮膚炎に特徴的なものであるか、③慢性で繰り返し起こっているか、がチェックされます。疑わしい症状があるときは、医療機関を受診しましょう。
アトピー性皮膚炎のスコアリング
一重症度およびコントロール状態の測定一
アトピー性皮膚炎は、皮膚の見た目だけではその重症度を判断できません。
「スコアリング」を行うことでアトピー性皮膚炎の重症度やコントロール状態が分かります。
スコアリングにはいくつかの種類があり、ここでは代表的なものを5つご紹介します。
ADCT1)
患者さん自身が測定を行い、疾患コントロール状態を長期的に見るスコアです。
6つの質問で、直近の1週間の症状の程度に加えて、その症状が睡眠、日常の活動、気分や感情にどの程度影響したかを回答します。
【注】合計スコアが7点未満であっても、6つのいずれかの質問のうち、1つでも2点以上(4番目の質問では1点以上)のスコアを記録した質問があった場合、または前回のADCT使用時から合計点数が5点以上増加した場合、「良好にコントロールされていない可能性がある」と判定されます。
そう痒NRS4)
患者さん自身が測定するかゆみのスコアです。
過去24時間で最もひどかったときのかゆみの重症度を、0~10の間の数値で答えます。
※0=まったくかゆみがない状態、10=想像できる範囲で最もひどいかゆみ
EASI5)
医師が測定する湿疹の重症度や範囲をあらわすスコアです。
4つの身体部位(頭頸部、体幹、上肢、下肢)のスコアを合計します。
TARC6,7)
医師が血液検査で測定する炎症のスコアです。
見た目には分からない、皮膚の内部に潜む炎症を把握することができます。
※小児(6〜12ヶ月)では1367pg/mL未満、小児(1〜2歳)では998pg/mL未満、
小児(2歳以上)では743pg/mL未満が正常値です。
1)Pariser DM et al. Curr Med Res Opin. 2020;36:367-376;
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