アトピー性皮膚炎になるしくみ
アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹を主な症状とした、良くなったり悪くなったりを繰り返す病気のことです。
名前に「炎」という文字が入っているように、皮膚の内部で「炎症」が起こっていて、皮膚が本来もっている「バリア機能」を低下させ、「かゆみ」を引き起こします。我慢できないほどのかゆみのせいで、皮膚をかきこわしてしまい、さらなるバリア機能の低下と炎症を引きおこす悪循環に陥ります。
アトピー性皮膚炎では、ちょっと良くなったと思ってもまたすぐに悪くなったりしますが、それは、皮膚の表面はきれいになっても、まだ「炎症」が皮膚の奥底に潜んでいるからかもしれません。
- アレルゲン(ダニ、ハウスダスト、食物など):アレルギーの原因となる物質
- サイトカイン(IL-4、IL-13など):免疫細胞からつくられる物質で、皮膚内部の炎症を引き起こしたり、バリア機能を低下させたりする
- 免疫細胞(Th2細胞、ILC2など):免疫にかかわる細胞で、IL-4やIL-13といった炎症を引き起こす物質(サイトカイン)をつくりだす
アトピー性皮膚炎の症状
アトピー性皮膚炎の症状は、かゆみのある湿疹が特徴です。
「赤くなる」、「赤いブツブツ」、「ジクジクで液が出る」、「ボロボロ皮がむける」、といった湿疹があらわれます。長引くと皮膚が「硬くゴワゴワ」になっていきます。
赤くなる
赤いブツブツ
ジクジクで液が出る
ボロボロ皮がむける
硬くゴワゴワ
湿疹は体の左右対称にあらわれることが多く、顔、首、頭、ひじ、ひざ、おなかや胸から背中にかけてなどが症状の出やすい部位です。年齢とともに湿疹の出やすい部位が変わっていきます。
アトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患のひとつで、ダニ・ハウスダスト・食物などアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が、皮膚の内部に侵入し、炎症やかゆみを引き起こしているものと考えられます。
正常な皮膚は「バリア機能」を備えていて、アレルゲンの侵入をブロックできるのですが、アトピー性皮膚炎の皮膚はバリア機能が低下していて、アレルゲンが簡単に侵入できる状態にあります。
正常な皮膚
バリア機能が正常に働き、アレルゲンの皮膚内部への侵入をブロック。
皮膚内部の水分の蒸発も防ぎ、皮膚が保湿されている。
アトピー性皮膚炎の皮膚
バリア機能が低下して、アレルゲンが簡単に侵入できる状態。
皮膚内部に侵入したアレルゲンが炎症やかゆみを引き起こす。
皮膚内部の水分も簡単に外に逃げてしまい、皮膚の乾燥が起こる。
アトピー性皮膚炎を悪化させる要因は、人によってさまざまですが、何か1つの要因ではなく、複数の要因が重なり合って起こるケースが多くみられます。代表的な悪化要因には、汗、ストレス、ハウスダストやダニ、細菌・カビ、食物などがあげられます。
汗
ストレス
ハウスダスト・
ダニ
細菌・カビ
食べ物