子どものアトピー性皮膚炎とはどんな病気?1)

アトピー性皮膚炎は、「赤くなる」「小さいブツブツができる」「皮がカサカサむける」「皮膚が厚くなる」「かさぶたができる」などといったかゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。

慢性的とは、1歳未満であれば2カ月以上、1歳以上の方であれば6カ月以上継続している状態を指します。かゆみのある湿疹が、ほぼ左右対称に現れるのもアトピー性皮膚炎の湿疹の特徴です。

独⽴⾏政法⼈環境再⽣保全機構. ぜん息悪化予防のための⼩児アトピー性⽪膚炎ハンドブック. 2009. p4 を参考に作成

年代別に症状の現れやすい部位が違います2,3)

アトピー性皮膚炎は、基本的にどの部位にも出現しますが、年齢によって症状が出やすい部位が異なります。

■乳児期(2歳未満)

頬、額や頭の露出部に乾燥や赤みが生ずることではじまることが多いです。かゆみが生じてぶつぶつやかき傷ができるようになると首、脇、ひじ、ひざなどに拡がり、さらに、しばしば体幹(お腹や背中)、四肢(腕や脚)にも出現します。重症の赤ちゃんは下腿の外側にも出現することが多いです。

■小児期(2〜13歳くらい)

幼児期から学童期にかけては、顔よりも、首、脇、ひじの内側やひざの裏側、手首、足首が中心となります。重症の場合は、腹部や背中にも出現しますが、顔や腕、脚をかくことで悪循環に陥ります。

■思春期以降(13歳以上)

顔、首、胸、背部など上半身の皮膚症状が強くなる傾向があります。悪化する部位や皮膚症状にも個人差が大きくなり、顔や首が重症なタイプや、胸部、腹部、背部、腕、脚にかゆみの強い結節型の皮膚症状が多発するタイプ、全身の皮膚が赤くなるタイプなど、重症化する患者さんが少なくありません。

1)独立行政法人環境再生保全機構. ぜん息悪化予防のための小児アトピー性皮膚炎ハンドブック. 2009. p4
2)一般社団法人日本アレルギー学会/公益社団法人 日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021. アレルギ- 2021; 70: 1257-1342
3) 大矢幸弘. 最新版 アトピー性皮膚炎をしっかり治す本 法研. 2021. p33-37