治療に前向きに取り組まれている患者さん:Aさん(30代女性)
先生とコミュニケーションをとる大切さを実感しました。
- 1年前にじんましんを再発
- いくつかの内服薬で治療をするも症状を完全に抑えることはできず、
複数のクリニックを受診 - かゆみにより眠れず、日中の集中力が下がり、仕事にも支障が出ていた
5年前、初めてのじんましん

初めてじんましんが出たのは、約5年前でした。
最初に行ったクリニックでは、ダニアレルギーかもしれないと言われたので、布団を全部替えたり、布団用の掃除機を買ったり、下着を替えたりして、けっこう、お金もかかったのですが、1ヵ月くらいしても良くなりませんでした。それで、別のクリニックに行ったのです。そこでも、じんましんと診断されたのですが、アレルギー検査は陰性で、何が原因かわからなかったです。結局、ストレスじゃないか、と言われました。ストレスと言われれば、どなたでも何かしら当てはまることがありますよね。ストレスのない期間というのはあまりないのではないでしょうか。
この時のじんましんは、仕事中はそんなに気にならなかったのですが、家でゆっくりしているとかゆくて…。かかないように気をつけていたのですが、夜になると足をかいてしまって、傷になっていましたね。
お薬は、いくつか試していて、ステロイド内服薬も処方されていました。
1年前、再発して大学病院に紹介
最初のじんましんが治まってから4年ぐらいたって、またじんましんが出るようになりました。今度は、仕事に集中できないぐらいかゆくて、夜も眠れなかったです。でもかゆいだけで体は元気なので、仕事は休んでいませんでした。熱が出ているわけでもなく、痛いわけでもなく、じんましんが出ていたのは服でかくれる範囲でしたし、顔もマスクをすれば目立ちませんでした。仕事の人手も足りなかったので、休みたいって言い出せなかったこともありますね。
でもやっぱり、体はかゆいし、眠れないし、仕事にも集中できなくなっていました。体が熱い気もしてきていました。ステロイドを飲む量も増えていて、それ以上は増やせなくなって大学病院を紹介されました。

「慢性特発性じんましん」の診断と新しい治療との出会い

大学病院で、現在の先生に出会いました。先生が、問診で「他に何かかかっている病気や飲んでいる薬はありますか?」と詳しく聞いてくださったことをきっかけに、それまでのクリニックでは話していなかった持病のことや、ささいなことでも気になったことは先生に話せるようになりました。また、「慢性特発性じんましん」という診断を受けたことで、自分自身の病気や治療への向き合い方も変わっていったように思います。
それまではストレスによるかゆみと思っていましたし、かゆみがひどいと調べる気力も湧かなかったのですが、先生が病名を教えてくれたことで自分でも調べてみようという気持ちになりました。じんましんには、何か原因があるものだとばかり思っていましたが、先生から「じんましんの8割は原因不明なのですよ」と伺って、これを「特発性のじんましん」と呼ぶことを初めて知りました。アレルギーではないと言われるし、では一体何を調べて、どうすればいいのか…。途方に暮れていたところに先生のお話を聞いて、私の持病が原因ではないにしても、少し道が開けたような気がしました。また、クリニックでは「慢性」という言葉は一度も聞いていません。だから私の中では、なかなか治らないじんましんというくらいの認識で、「どうして治まらないのだろう」と不思議に思っているだけでした。でも、大学病院で「慢性」という言葉を聞いたとき、「ああ、これは長期化して繰り返す、ちょっと難しい病気なのだな」とすぐに感じました。ただのじんましんではなく「慢性特発性」と付いたことで、自分の中でも腰を据えて治療に取り組まなければならないことを実感しました。
また、クリニックでは「慢性」という言葉は一度も聞いていません。だから私の中では、なかなか治らないじんましんというくらいの認識で、「どうして治まらないのだろう」と不思議に思っているだけでした。でも、大学病院で「慢性」という言葉を聞いたとき、「ああ、これは長期化して繰り返す、ちょっと難しい病気なのだな」とすぐに感じました。ただのじんましんではなく「慢性特発性」と付いたことで、自分の中でも腰を据えて治療に取り組まなければならないことを実感しました。治療についても、飲み薬と注射薬があること、そして今後の治療方針を具体的に教えていただけたので、先が見通せた感じがして安心しました。ただ、治療期間が平均で6年ほどかかると聞いて、「ええ、そんなに長いの?」と驚いてしまいましたが、このままの治療ではなくて、もう少し積極的な治療をしていきましょう、ということなのだと理解しています。

治療についても、飲み薬と注射薬があること、そして今後の治療方針を具体的に教えていただけたので、先が見通せた感じがして安心しました。ただ、治療期間が平均で6年ほどかかると聞いて、「ええ、そんなに長いの?」と驚いてしまいましたが、このままの治療ではなくて、もう少し積極的な治療をしていきましょう、ということなのだと理解しています。
今思うこと
この病気で何が一番つらかったかと聞かれれば、やはり「かゆみ」です。そして、2番目がそれに伴う「生活の質の低下」です。かゆみのせいで仕事に全く集中できないし、眠ることもできなかったです。休みの日にどこかへ出かける気力もありませんでした。3番目には「お金の負担」も大きかったです。通院費や薬代はもちろん、最初の頃は原因がわからず、アレルギーを疑って掃除機を買い替えるなど、本当にお金がかかりました。
当時は、かきむしった痕がひどくて…。温泉に行っても、タバコを押し付けられた痕みたいに見えるのではと気になり、とても楽しめませんでした。服装も、いつも長袖を一枚羽織って、肌を隠していましたね。それでも顔や指にもじんましんが出ていたので、周りの友達に心配されたり、「プールは刺激が強すぎない?」と、どこへ行くにも気にしてもらったり…。
でも、大学病院での治療が順調に進み、現在では、かゆみが治まり、夜は眠れるようになって、仕事にも集中できるようになりました。友達も、もう私に気を使うことなく気軽に誘ってくれる。失っていたごく普通の日常が、やっと自分の元に戻ってきたと感じています。
つけていたじんましん日誌を時々見返すのですが、最初の頃のページはメモでびっしりなんです。「薬を減らした」「プールに行ったら悪化した」とか、試行錯誤していた様子がたくさん書き込んであって…。でも、良くなるにつれて、書くことがなくなっていきました。日誌を読むと「去年の自分は大変だったな」と、客観的に振り返ることができます。
だからこそ、もっと早く、飲み薬だけでなく別の治療法もあることを知りたかったですね。クリニックでお薬をいろいろ試しましたが、様子を見ると言っても、もう少し早い段階で次に進めたのではと思います。自分に合う治療に出会うまでが長くかかりましたね。
家から出る気力もなく、ひたすらかゆみと向き合っていた私が、今はじんましんになる前の「普通の生活」を取り戻すことに希望が持てるようになり、本当に良かった、と思っています。

