痒疹とは?
痒疹とはかゆみを伴う、孤立した小さなポツポツを特徴とする反応性の皮膚疾患1)です。

主な原因
原因はまだ分かっていないことが多いですが、虫刺され、糖尿病などのさまざまな疾患に関連して起こるもの、心因性、アレルギーが関係している場合もあります。
主な痒疹の症状として、以下の3つに分類されます。
- 結節性痒疹
- 直径1cmぐらいになる暗い褐色で、角質層が厚くて硬いドーム状やイボ状の結節(しこり)です。
手足の外側(伸側)にできる場合が多いですが、胴体など広範囲にみられることもあります1)。 - 多形慢性痒疹
- 高齢者に多く、わき腹、お尻、足の外側によくできます。
引っかくことによってさらに広範囲に蕁麻疹のような紅斑ができることもあります1)。 - 痒疹(上のいずれにも該当しないもの)
- かゆみを伴う、孤立した小さなブツブツを特徴とする反応性の皮膚疾患1)です。
検査では何をしらべるの?
血液検査を行い、アレルギーのメカニズムにかかわる好酸球やIgEを確かめることがあります1)。診断がつかない場合は、皮膚を一部採取して調べる「生検」を行うこともあります。
かゆみが特に強かったり、皮疹が広い範囲に及んでいる場合、また治療してもあまり良くならなかったり、とても治り難くて慢性化している場合は、他の内臓疾患が原因(デルマドローム)である可能性もあり、全身の疾患を調べることもあります1) 。
どのような治療をするの?
痒疹では、スキンケアと薬物療法が中心になります。スキンケアは、下の表を参考にしてください。
どんなことに気を付ければいいの?
-スキンケアの例1)
1. 皮膚の清潔〜毎日の入浴、シャワー
- 汗や汚れは速やかに落とす。しかし、強くこすらない。
- 石鹸・シャンプーを使用するときは洗浄力の強いものは避ける。
- 石鹸・シャンプーは残らないように十分にすすぐ。
- かゆみを生じるほどの高い温度の湯は避ける。
- 入浴後のほてりを感じさせる沐浴剤・入浴剤は避ける。
- ナイロンタオルや硬めのタオルの使用を控える。
2. その他
- 室内を清潔にし、適温・適湿を保つ。
- 新しい肌着は使用前に水洗いする。
- 洗剤はできれば界面活性剤の含有量の少ないものを使用する。
- 爪を短く切り、なるべく掻かないようにする。
- 手袋や包帯による保護が有用なことがある。
治療薬には、塗り薬、飲み薬などがあります。


最初はステロイドの塗り薬を使うことが多いです。また、患者さんの状態に応じてさまざまな薬が使われます。例えば、かゆみが強ければ抗ヒスタミン薬を使うことがあります。
血液透析や慢性的な肝臓の病気が原因のときは、ナルフラフィン塩酸塩という痒みを抑える薬を使います。
1)佐藤貴浩ほか: 日本皮膚科学会ガイドライン 痒疹診療ガイドライン2020, 日本皮膚科学会雑誌. 2020; 130(7): 1607-1626