治療の目標
特発性の慢性蕁麻疹の治療では、まず治療により皮膚に赤みを帯びたふくらみ(膨疹)といった症状があらわれない状態にすることを目指します。最終目標は、薬を使わなくても症状があらわれない状態にすることです。症状がなくなっても、治療をやめると症状が再びあらわれることがあるので、長期にわたって治療を続けることが大切です。
特発性の慢性蕁麻疹は、原因が特定できず、症状があらわれる時期も予測できないことから、QOL(生活の質)への影響が大きい疾患です。ぐっすり眠りたい、ファッションを楽しみたいなど、あなたが日常生活でどのような状態になりたいか、より具体的な目標に向けて治療を進めることも大切です。
治療の流れ1)
蕁麻疹の治療の基本は、原因・悪化因子の除去・回避と抗ヒスタミン薬を中心とした薬物療法ですが、原因が不明である特発性の慢性蕁麻疹では、薬物療法を中心として治療を行い、症状の改善を図ります。
薬物治療は抗ヒスタミン薬からはじめます。その後、特発性の慢性蕁麻疹の状態に合わせて、必要なお薬を追加または変更していきます。
そして、治療によって症状があらわれない状態になったら、それを維持し、最終的には薬を使わなくても症状があらわれない状態を目指します。
秀 道広ほか:蕁麻疹診療ガイドライン 2018. 日皮会誌 128(12): 2503-2624 を参考に作成
薬物治療について
抗ヒスタミン薬、H2拮抗薬*1、抗ロイコトリエン薬*1 | アレルギー反応にかかわる物質(ヒスタミン、ロイコトリエン)の働きを抑える飲み薬です。 |
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経口ステロイド薬*2 | 炎症を抑える飲み薬です。長期間の使用は避けて、医師が必要と判断した時期のみ使用します。 |
生物学的製剤 | 特発性の慢性蕁麻疹の炎症や症状で中心的な役割を果たしている物質の働きを抑える注射薬です。 |
免疫抑制剤*1 | 抗ヒスタミン薬などによる治療によってもQOL(生活の質)が低下している場合や、副作用などにより、他の薬物治療が必要な場合に使用されることがあります。 |
*1:蕁麻疹に対して保険適用なし、*2:慢性蕁麻疹に対して保険適用なし
秀 道広ほか:蕁麻疹診療ガイドライン 2018. ⽇⽪会誌 2018;128(12):2503-2624 を参考に作成
このほか、膨疹があらわれているときには、患部を冷やしたり、軟膏などの外用薬を使ったりすることが、かゆみの軽減に役立つことがあります。
参考文献
1) 秀 道広ほか:蕁麻疹診療ガイドライン 2018. ⽇⽪会誌 2018;128(12): 2503-2624