アトピー性皮膚炎の「良い状態をキープ」する 【監修】ひふのクリニック人形町 院長/東京慈恵会医科大学 客員教授 上出良一先生

アトピー性皮膚炎の経過

アトピー性皮膚炎は、かゆみや湿疹などの症状が、良くなったり悪くなったりを繰り返します。見た目には良くなったように見えても、皮膚の奥底に炎症が残っていると、さまざまな要因によって悪化してしまいます。
でも、治療が年々進歩している今では、状態をよくするだけでなく、「良い状態をキープ」することが目指せるようになっています。

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アトピー性皮膚炎の治療目標

慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返すアトピー性皮膚炎の治療では、以下の状態をキープすることが目標とされています。

  1. icon number症状がない状態、あるいはあっても日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態
  2. icon number軽い症状はあっても、急に悪化することはなく、悪化してもそれが続かない状態

治療を続けていてもなかなか改善しないし、モチベーションが続かない…などの悩みごとや困りごとを抱えている方は、今のあなたにとって最適な治療ができているか、医師と相談してみましょう。

アトピー性皮膚炎の悪循環

かゆくて皮膚をかけば皮膚のバリアは壊れてしまいます。バリア機能が低下すると、アレルギーの原因物質が侵入しやすくなり、皮膚の下で炎症が引き起こされてしまいます。炎症はさらにバリア機能低下やかゆみを引き起こしますので、さらにかゆみを感じて皮膚をかく、という悪循環に陥ります。

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※ 体内の細胞同士の情報伝達を行う体内物質のことをサイトカインを呼ぶ。ここでは、アトピー性皮膚炎の患者さんにおいて「バリア機能低下」「炎症」「かゆみ」のすべてに直接的に影響する特有の体内物質のことを指す。

アトピー性皮膚炎の治療で大切な3つの要素

アトピー性皮膚炎で引き起こされる悪循環を断つには、「かゆみ」、「バリア機能の低下」という明確な症状として現れるものだけでなく、身体の内側で生じる「皮膚の下の炎症」も含めた3つの要素を抑えることが大切です。

かゆみ

皮膚のバリア機能低下

皮膚の下の炎症

見た目にはきれいでも、皮膚の下に潜在的に炎症が残っている状態にとどまっていたら、悪化の繰り返しからなかなか逃れられません。もう一歩先の、「皮膚の下の炎症」を抑えることにまで目を向ければ、正常な皮膚に近い状態を保つこと、つまり「良い状態」のキープを目指すことができるようになるでしょう。

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その実現にはまず、あなたの「いま」の状態を把握すること。そして、「これから」の変化を把握すること。それを医師と相談しながら、二人三脚で治療に取り組んでいくことが大切です。

あなたの目標を達成するために

皮膚を「良い状態」でキープすることができたら、あなたは何をしたいでしょうか?
アトピー性皮膚炎の治療は年々進歩しており、治療選択肢も増えています。あなたのアトピーを「良い状態」にキープして、目標を達成しましょう。

あなたの治療の目的は?
?

あなた自身の目標を、
ぜひ医師にも
話してみてください。

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アトピー性皮膚炎の最適な治療のために

アトピー性皮膚炎の治療選択肢は年々増加しています。
特に2018年以降、続々と新薬が発売され、いままでの治療選択肢では良くならなかった方も治療目標を達成できる可能性が飛躍的に向上しました。