副鼻腔炎は「蓄膿(ちくのう)症」とも呼ばれ、風邪のウイルスや細菌、アレルギーなどにより、副鼻腔の粘膜に炎症が起こることで発症します。風邪(ウイルスや細菌感染)やアレルギーなどがきっかけで鼻の中で炎症が起きると、鼻の粘膜が腫れたり、ドロドロした鼻水が出てきたりします。この腫れや鼻水によって、副鼻腔と鼻の間にある自然口がふさがると、副鼻腔から分泌物や異物を排泄できなくなり、鼻水や膿がたまってしまいます。こうして起こるのが副鼻腔炎です。
副鼻腔炎は、発症から4週間以内の場合は「急性副鼻腔炎」、症状が3ヵ月以上続く場合は「慢性副鼻腔炎」と診断されます。

風やアレルギーによって炎症が起きる様子

副鼻腔とは?

副鼻腔は、鼻の周囲にある空洞です。左右にそれぞれ4対、合計8個あります。副鼻腔は、自然口と呼ばれる通り道で鼻の中(鼻腔)とつながっています。
副鼻腔から出る鼻水などの分泌物や異物は、この道を通って、副鼻腔の外に出ていきます。

副鼻腔炎の位置

副鼻腔の位置

治りにくい慢性副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)とは?

慢性副鼻腔炎は、炎症を起こしている部分に集まっている白血球の種類によって、大きく2種類に分けられます。昔は“好中球”という白血球が多い非好酸球性慢性副鼻腔炎が主流でした。しかし最近では“好酸球”という白血球が多い、新しいタイプの慢性副鼻腔炎が増えてきました。この慢性副鼻腔炎は「好酸球性副鼻腔炎」と呼ばれ、国の指定難病に指定されています。好酸球性副鼻腔炎は、非好酸球性副鼻腔炎とくらべて治りにくく、再発しやすいことが問題となっています。

日本の慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の新規の患者さんは、年間約100~200万人(総人口の0.8~1.6%)で、約100人に1人の割合になります。その中で治りにくい慢性副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)は約2万人いるとされています。

【出典】藤枝重治, 他. 日本耳鼻咽喉科学会会報 2015; 118(6): 728-735

副鼻腔炎の種類

急性
副鼻腔炎
慢性副鼻腔炎
非好酸球性副鼻腔炎 好酸球性
副鼻腔炎
※難治性の慢性副鼻腔炎
期間 発症から
4週間以内
発症から3ヵ月以上
原因 細菌・
ウイルス感染
風邪などの細菌・ウイルス感染による炎症、アレルギー、鼻の中の形態異常、遺伝、生活環境など、多くの因子が複雑に絡み合っている はっきりとわかっていないが、2型炎症による免疫反応の活性化といわれている
鼻茸の有無 鼻茸なし鼻茸なし 鼻茸あり鼻茸あり
炎症が
起きやすい場所
ほおの奥ほおの奥 目元の奥目元の奥の空洞や嗅裂(鼻の奥の匂いを感知する場所)
よくみられる
症状
鼻づまり
鼻水
後鼻漏(鼻水がのどに落ちる)
頭痛
顔面痛
嗅覚障害(匂いがわからない)
せき
など
左記の副鼻腔炎の症状に加え、嗅覚障害(匂いがわからない)鼻茸が再発しやすい

長引く鼻づまりや「匂いがわからない」などの治りにくい慢性副鼻腔炎の症状は、放っておいても解消しません。いずれ嗅覚障害が治るだろうと放置せず、専門の病院で正しい検査・治療を受けましょう。