このページでは、嗅覚障害について詳しく解説します。
治りにくい慢性副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)の主な症状である嗅覚障害。嗅覚障害になると、匂いがわからなくなってしまいます。
最近は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でも嗅覚障害が報告されていますが、実際は副鼻腔炎が嗅覚障害の原因疾患の中で最も高い割合を占めています。特に、鼻茸(鼻ポリープ)を伴う治りにくい慢性副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)では、多くの患者さんが嗅覚障害に悩まされています。

嗅覚障害の原因疾患

嗅覚障害の原因疾患

<対象・方法> 兵庫医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科において、2004年12月〜2009年11月に嗅覚障害を主訴に受診した707例について原因疾患を検討した。

「匂いがわからない」嗅覚障害はなぜ起こる?

匂いのもととなる「匂い分子」は、鼻から入ると、まず鼻の最上部(嗅裂)にある嗅細胞とよばれる細胞に届きます。嗅細胞から匂いを感じ取る神経(嗅神経)に匂いの情報が伝わり、それが脳に送られて、私たちは匂いを感じます。

匂いを感じる

この経路のどこかに異常があると、匂いがわからなくなってしまいます。たとえば、以下のようなことが考えられます。

① 匂い分子が匂いを感知する嗅細胞(嗅粘膜)に届かない(気導性嗅覚障害)

鼻の中の空気の流れが悪いと、匂い分子が嗅細胞まで届かず、匂いがわからなくなることがあります。治りにくい慢性副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)では、鼻の中に鼻茸(鼻ポリープ)とよばれるキノコのようなものができて邪魔をし、匂い分子が嗅細胞まで届かなくなることがあります。

② 匂いの神経(嗅細胞)がダメージを受けている(嗅神経性嗅覚障害)

嗅細胞がダメージを受けると、「匂いがわからない」という症状につながります。
たとえば、風邪をひいて嗅細胞がウイルスに感染したときや、頭や顔にケガをして嗅細胞にまでダメージがあったときなどが当てはまります。

③ 頭部の外傷や脳腫瘍などの病気が原因で匂いがしない(中枢性嗅覚障害)

匂いの情報が嗅細胞から脳に伝わるまでの経路がダメージを受けていると、匂い分子が届いていても、「匂いがわからない」症状が出ることがあります。そのため、頭にケガをしたときや、脳に疾患があるときなどに嗅覚障害になることがあります。

先ほどお伝えしたように「匂いがわからない」という症状の原因として、最も多い病気は副鼻腔炎です。特に鼻茸がくり返しできやすい、治りにくい慢性副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)では嗅覚障害に悩まされます。
嗅覚チェックで気になったら、早めに専門の病院を受診しましょう。

もしかしたら私だけ?
普段の生活で、このような経験がある方は、嗅覚障害かもしれません。

カレーの匂いが鼻を近づけないとわからない
カレーの匂いが
鼻を近づけないと
わからない
食べ物が腐っていることに気づかない
食べ物が腐って
いることに
気づかない
周りの人が気づく匂いがわからなかった
周りの人が気づく
匂いが
わからなかった
洗濯で使った柔軟剤の匂いがあまりわからない
洗濯で使った
柔軟剤の匂いが
あまりわからない
タバコ・線香・花火などの煙や強い匂いに気づかず急に咳が出てしまう
タバコ・線香・花火
などの煙や
強い
匂いに気づかず
急に咳が出てしまう
体臭がわからないことが気になり人に会うのがおっくう
体臭がわからない
ことが気になり
人に
会うのがおっくう

もし、ご自身の匂いの感覚の異常が気になったら、嗅覚状態をセルフチェックしてみましょう。

あなたの嗅覚状態は、どの程度?
簡単セルフチェック