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外用薬と保湿剤の正しい使い方

外用薬は「必要な量」を「必要な期間」塗りましょう

「この薬で大丈夫かしら?」

アトピー性皮膚炎の治療のために処方された外用薬に、不安をお持ちの方がしばしば見受けられます。でも医師は、症状に応じて最も良いと思われる薬を適切に選んでいます*。したがって、指示通りに使用することが大切です。

「塗る量は、このくらいでいいかしら?」

塗る量もとても重要です。分からないときはきちんと医師に確認してください。自己判断で薬の量を調節したりすることもよくありません。

「いつまで塗ればいいのかしら?」

炎症がおさまったように思っても、自己判断でやめたりしないようにし、必ず医師に相談するようにしましょう。炎症が再び起こりやすい状態であることもあります。そのような場合に外用薬を塗らないでいると、炎症が悪化してより強い薬が必要になったり、かえって長い間、薬が手放せなくなることがあります。

塗る回数、塗る順番については医師に相談しましょう。

炎症を抑える薬は、1日1回塗る場合と1日2回塗る場合があります。何回塗るか、医師に確認するようにしましょう。1日2回塗るという指示をもらった場合、実際はたいへんなこともあると思います。もし負担になるようであればそのことを医師に伝えましょう。
また、炎症を抑える薬と保湿剤が両方処方されている場合、どちらを先に塗ったら良いか迷いますね。これも2通り考えられますので、医師に確認するようにしましょう。

薬は「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版(加藤則人ほか. 日皮会誌. 2016; 126(2): 121-155.)」に基づいて、医師がそれぞれの患者さんに最も適切と思われるものを選び処方しています。

アトピー性皮膚炎の情報に注意

アトピー性皮膚炎の情報はたくさんありますが、間違ったものも少なくありません。炎症を抑える塗り薬を長く使っていたら「肌が黒ずんだ」、「ぶ厚くガサガサになってしまった」などという情報は時々見られることがあります。非常に多い誤解の1つですが、この症状は、実はアトピー性皮膚炎の炎症がおさえられずに長く続いたことで起こる症状の1つです。薬の副作用を過剰に心配し、きちんと薬を使わなかったために起こってしまった可能性があります。

保湿剤によるスキンケアも行いましょう

炎症やかゆみを抑える保湿の効果

アトピー性皮膚炎の患者さんは、乾燥肌になりやすい体質があり、かゆみも強く出てしまいます。乾燥肌はもともと皮膚に備わっているバリア機能が低下するため、アレルゲンとよばれるアレルギーの原因物質が体の中へと入り込みやすくなっています。そのため、アレルギーや炎症が起こりやすく、かゆみも強く出やすいのです。掻き壊してしまうと、バリア機能がさらに低下し悪循環となってしまいます。

このような乾燥肌を防ぐために、保湿剤によるスキンケアが有効です。すなわち、アトピー性皮膚炎の場合、保湿剤の使用は、スキンケアであると同時に治療でもあり、外用薬に次いで大切なものです。炎症がうまく抑えられれば、炎症を抑える外用薬が少なくできたり、早めに止めることにもつながります、保湿剤も医師の指示に従ってきちんと続けるようにしましょう。

アトピー性皮膚炎のバリア機能の低下

外用薬と保湿剤の塗り方の実際

塗る範囲

炎症を抑える薬は、炎症のみられる範囲より広めに塗ります。また、健康そうに見える皮膚でも、隠れた湿疹が潜んでいるので、保湿剤は全身に塗ることをおすすめします。

必要な薬の量*

チューブから、大人の指先~関節1つ分出した量で、大人の手2枚分の面積を塗るのが、使用量の目安です。

薬がローションの場合は、手のひらに1円玉ぐらいの大きさを出した量が、大人の手2枚分の面積を塗る目安です。

*中学生や高校生、成人の方が自分自信で薬を塗る場合も、必要な薬の目安は同じです。

つけ方

まずは、皮膚にちょんちょんと置くような感じで、薬をつけます。

広げ方(基本形)

薬はすり込まないで〝乗せる″ように、やさしく手のひらで広げます。

皮膚のシワにそって広げるようにしましょう。人の体はだいたい横方向にシワができていますので、縦方向に広げるとムラができやすくなります

からだの部位による炎症を抑える外用薬の吸収の違い

Trozak DJ: Cutis 46(4),341,1990より作図

保湿剤の塗り方

保湿剤は湿疹のある部位だけでなく、全身に塗るようにします。そのため、保湿剤は指先でなく、手のひらに多めにとり、身体のしわに沿って塗ると、きれいに広がります。

保湿剤は入浴後できるだけ早く塗ると効果的です。入浴すると皮膚が水分をたくさん保持しているので、保湿剤を早めに使うと、その水分が逃げないうちに皮膚にフタをすることができます。

お子さんが塗り薬を嫌がったら

アトピー性皮膚炎の薬の中には、塗った後に肌が少しヒリヒリしたりほてった感じがするものがあるのですが、お子さんがこのような感じを嫌がったり、また薬のベトベト感を嫌がるようなことはありませんか?
 実はこのような問題は、解決できるケースも少なくないのです。ヒリヒリ感やほてり感は、皮膚の炎症が強い時によくみられる症状で、きちんと薬を塗って炎症が落ち着いてくると、あまり感じなくなることが多いようです。また薬のベトベト感についても、炎症が収まってくれば医師の判断で薬を減らしていけますので、徐々に解決される可能性があります。塗り心地の良い保湿剤を一緒に使いながらベトベト感のある薬を減らしていき、保湿剤のみを使う日が増えれば、お子さんの不快感もぐっと減ります。
 また、薬を塗ること自体を嫌がったり、面倒になってしまうお子さんもいらっしゃいますが、この場合は、説得したり叱ったりするのはあまり効果がないようです。お子さんが頑張って薬を続けるには、きちんとできた時に親御さんが褒めてあげるのが、とても効果的と考えられています。また、ちょっとしたご褒美をあげることも、やる気を引き出すためにあって良いことだと思われます。親御さんが、お子さんのやる気をうまく引き出してあげられるといいですね。

参照元:加藤則人編:エキスパートが答える!アトピー性皮膚炎Q&A55(大矢幸弘執筆の箇所)より

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