花粉症対策

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ためになる花粉症コラム
寄生虫とアレルギーとの関係
イラスト 回虫(寄生虫)が体内にいると「花粉症にならない」 そんな話題がマスコミをにぎわせたのは、いまから7,8年ほど以前のことでした。さて、真偽のほどはどうなのでしょうか?

日本赤十字社和歌山医療センター耳鼻咽喉科の榎本雅夫部長にお話しを伺いました。

「スギ花粉症が日本で初めて報告されたのは1964年のことでした。花粉症は日本ではまれな病気だったのです」
日本人では回虫を体内に持つ人が、60年代から70年代にかけて激減しました。それに反比例するかのように、花粉症をはじめとするアレルギー性の病気が増えてきました。
回虫と戦うための免疫が暴走!?
では回虫が体内にいると、なぜ花粉症にならないといわれるのでしょうか?

イラスト 「花粉を吸いますと、人の身体にはIgE抗体(免疫グロブリン)というタンパク質ができます。このIgEが、身体に侵入してきたスギ花粉などと肥満細胞の上でくっついて反応を起こすと、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質を出して、その刺激でくしゃみや鼻水や鼻づまりなどの症状が現れます。これが花粉症です」
と、榎本先生は説明をしてくれました。

「ところが回虫が体内にいると、回虫をやっつけようとして働くために、IgE抗体がたくさん産生されます。これは正常な免疫のシステムです」

イラスト あくまでも推論とことわりながら、榎本先生は解説を続けます。
「IgE抗体は、回虫に悩まされ続けた数万年にも及ぶ人類の長い歴史のなかで、そもそもが回虫を攻撃するために、身体のなかに作り上げてきた物質のひとつかも知れません。このように回虫をやっつけるために使われてきたIgE抗体でしたが、衛生環境が整った現代に、回虫は私たちの身体からいなくなってしまった。そしてIgE抗体は、スギ花粉などの、人間の身体に悪い影響を与えない物質を、敵だと誤認してくっつくようになってしまい、免疫システムが暴走して花粉症を起こしているのかも知れないのです」
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実験では、回虫によってヒスタミンが抑えられてきましたが・・・・・・
榎本先生は、数人のお医者さんのグループと共に次のような実験をしました。
実験のためにアレルギー患者の血液の成分である血球を用意します。
この血球に含まれる好塩基球という細胞表面のIgE抗体をはがしておき、回虫に特異的(反応する)なIgE抗体や、スギ花粉に特異的なIgE抗体を混ぜて、もう一度好塩基球表面にIgE抗体をくっつけます。その細胞にスギ花粉や抗IgE抗体を反応させ、ヒスタミンが遊離(現れる)するかどうかを調べたのです。
(1) スギ花粉特異的IgE抗体だけの場合 1:0
(2) スギ花粉特異的IgE抗体と回虫特異的IgE抗体を同じ量にした場合 1:1
(3) スギ花粉特異的IgE抗体より回虫特異的IgE抗体を多くした場合 1:2
(4) スギ花粉特異的IgE抗体より回虫特異的IgE抗体をより多くした場合 1:4
を調べてみると、(1)ではヒスタミン遊離が見られましたが、(2)では遊離するヒスタミンの量が減り、(3)や(4)ではさらにヒスタミンが抑えられるとの結果でした。この実験結果は、平成11年に科学技術庁へ報告をされました。

この結果だけを見ると、やはり回虫を体内に持っていると花粉症を抑えられるのではと考えてしまいがちですが、

「南九州地方では、豚の体内に棲む回虫がいましてね。養豚業をはじめとする2割から3割の住民の方がこの回虫に感染しています。ところが回虫に感染していても、スギ花粉特異的IgE抗体を調べると、高い陽性率なんです。またスギ花粉症の人も多いのです」
と榎本先生は首をひねります。回虫が体内にいるからといって、花粉症にならないとは限らないわけです。これも推論とことわりながら、榎本先生は、
「いろいろな報告を参考にすると、先に回虫が体内に棲息していて、そこにスギ花粉が侵入しても花粉症にはならないかも知れませんが、スギ花粉症を発症してから回虫に感染したときには、花粉症が抑えられるということはないのかも知れませんね」
と考えています。
回虫と花粉症の関係は、まだまだ確かめなくてはいけないことがあって、はっきりとしたことはいえないそうです。
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